妙正寺川下高田支流・夜の暗渠
2010年 09月 09日
中野駅の北方500mほど、早稲田通りの北側からはじまり、西武新宿線中井駅近辺で妙正寺川に合流する距離にして2kmほどのこの暗渠は、今まで庵魚堂さん、うさぎねこさん、namaさん、リバーサイドさんと、多くの方が記事にされている。それだけ、人を惹きつける何かがあるのだろう。
庵魚堂さんの「庵魚堂日乗」より
・石垣の径
・よるははかばでうんどうかい
うさぎねこさんの「ここには昔、川があった」より
・上高田寺町
namaさんの「暗渠さんぽ」より
・仏さまも見ている
リバーサイドさんの「善福寺川リバーサイドblog」より
・妙正寺川の支流を歩く(上高田支流)前編
・妙正寺川の支流を歩く(上高田支流)後編
中野ブロードウェイを抜けて早稲田通りに出て東にしばらく進み、通りの北側の住宅地に入っていくと、少し低くなっているところに、細い路地となった暗渠がひそんでいる。その薄暗さに一瞬躊躇するが、早速東へとたどって行くことにする。
路上のマンホールは東京都ではなく中野区のマークがついていた。途中、地図を片手に持った女性から、すれ違いざまに、この道は抜けられますかと訊かれた。もしや暗渠をたどっていたのだろうか。
新井薬師方面に抜ける道を横切るあたり、セブンイレブンの脇から、暗渠は少しだけ太くなる。これより下流は、マンホールには東京都のマーク。そして、柵状のマンホールもあちこちにあった。進んでいくとやがて谷筋がはっきりとしてきて、暗渠も歩いていてはっきりと感じられるくらい下りの傾斜となっている。暗渠沿いにはかつての護岸の痕跡らしきものもところどころあるが、闇にまぎれてよく見えない。
住宅地の中をくねくねと進む川跡は、ところどころに街灯があるが、その眩しさによって逆に、その先にひそむ闇を引き立たせている。進んで行く先が見えない状態は探検気分を際立たせる。視認性が低いことで、日中よりも嗅覚や聴覚が敏感になっているようにも思える。ときおり、漂う、かすかなどぶのにおい。住宅のエアコン室外機から流れる生ぬるい風。家々から漏れる生活の音。
庵魚堂さんが記事にしていた、墓石が組み込まれた石垣の脇も、その先は闇に包まれていて見通せない。
暗渠沿いの工事現場の明かりがイルミネーションのようだった。
大谷石の擁壁。その上は墓地。この先、区立白桜小学校の敷地へ突き当たり、進めなくなる。川跡はこのあたりから北東へと向きを変え、小学校と、その南側の墓地の境目の崖下を通っている。ここに限らず、この暗渠沿いは学校と寺が多い。
学校を回り込んで進んで行くと、東中野駅から新井薬師駅方面に抜ける道のY字路の辺りから、再び暗渠をたどれるようになる。川はY字路の少し奥を右から左へと流れていた。ここから先の暗渠は上落合3丁目と上高田4丁目の境界となっている。
落合斎場の脇を大きく曲がりながら抜けていく暗渠。斎場と駐車場を結ぶ橋?の下がトンネルのようになっていて、その中だけがまぶしいくらいに明るく白い天井と壁が闇に浮かび上がる様は、何やら異界への抜け道のようだ。
トンネルを抜けた先は、路上のアスファルトはでこぼことなって、隙間からは雑草が生え、放置された自転車や家電製品もあって、少し荒れた感じになっている。
写真には写っていないが、この辺りで猫に出会った。夜の通り道になっているのだろうか。
暗渠は東へと曲がって、人通りのある道へと出た。その先はあまり暗渠らしくない道となって、東へと進んでいる。遠くに見える明かりに引き寄せられ、川跡から離れ、人通りのある道「三ノ輪商店街」を北へと進んでみると、明かりは銭湯「三ノ輪湯」のものだった。銭湯の向かいの赤提灯は風呂上りの人が立ち寄るのだろうか。
少し進むと、すぐに妙正寺川に掛かる新杢橋(しんもくばし)に出た。
橋から上流方向を眺めてみる。左側(右岸)にふたつ、まあるい口が開いている。手前の排水口の上は上落合と下高田の境目と一致している。奥に見える排水口は、暗渠の北側に並行していた道の直下。かつてはそちらにも川が流れていたのかも知れない。
西武新宿線中井駅方面に向かうと、護岸に四角い合流口をふさいだ痕跡があった。先ほどの地点から、しばらく川に平行して東に進んだ後に、この場所で合流していたようだ。
夜の妙正寺川は、真っ暗な水面に水の流れる音が響く、巨大なコンクリートの排水路。切り立つ護岸は昼よりも絶望的に見える。どことなく死の気配が漂う夜の都市河川を足早に通り過ぎて、中井駅へと向かった。
> 途中、地図を片手に持った女性から、すれ違いざまに、この道は抜けられますかと訊かれた。
それ、決して振り向いちゃダメです。
走って逃げてもいけません。
‥‥ついてきます。 (^皿^)
ま、夜でも「仏も見ている」ので安心でしょうが。
・・・むしろ怖いかw
しかしながら、夜でもこんなに鮮明に写真が撮れるのが、すごいなあと毎回驚きます。コンパクトデジカメ、ではないんですよねえ?
この記事だけ読んでると、ちょっと神秘的ですてき、って思うんですけど、実際にあそこに行った時の感覚をも思い出すと、ぞわぞわ~~~っとしちゃいますw
じつは最もぞわっときたのは、斎場下のトンネル付近だったのですが、ふつーに写真撮ってらっしゃいますね・・・!HONDAさん、すごいッス・・・。
でも、あそこはやっぱりとても魅力ある暗渠だと思います。始点と終点がもにゃもにゃしちゃってるので、自分ももう一追い、しなきゃなーと思ってるところです。むかしの地図みてたら、始点が「へ?ここ??」ってところにあって意外でした。
でも、熱帯夜が続く中、ここだけはヒンヤリとしているんでしょうか。
そうなんです、夜は勘弁、と思ってた場所なのだけど、ついつい魔がさして・・・途中何度か、離脱しようかと思いました(笑)。地図の女性、言われてみれば、あんな場所でなんて、不思議ですよね。暗渠に棲むネコマタに化かされたのかも・・・
カメラは、Canon Powershot G10という、コンパクトカメラにちょっと毛が生えたようなのを使ってます。1眼ではないので、夜だとやっぱりちょっと粗い画像になってしまいます。
むしろ、あの世のモノよりもこの世のモノの方が怖いですよね。というか、あちこちにある「チカンに注意」「夜道に注意」のような看板を見ると、自分が怖がられやしないかという方が心配でした。始点、どこだったんでしょう?
そう言われてみれば、確かに桃園川方面に行った方が無難でした!でもこちらの探検気分も、悪くはなかったですよ。何度か、昼来ればよかったとは思いましたが(笑)
ええと、上高田支流(仮)の始点は、ある地図では、早稲田通りにくっついてました。そこに何があったのかはまだよくわかりません。しかも、国土地理院のあれじゃなくておおざっぱな地図だし、どこまで信頼できるかもわからない状態です。すみません、こんな情報で;;;
うあー、だめだー、もう、帰ることにします =3
そ、そこは宇田川源流の谷におりる道ですよね。昼でも何だか、特殊な空気が漂っているように感じますが、夜中の3時にそんな邂逅、かなり怖いです・・・
怖いですね〜怖いですね〜。
支流の暗渠上流端、あとで地図を見ると早稲田通りにほぼくっついてましたが、古地図でもそこなのでしょうか?機会があれば図書館ででも確認してみたいところです。
ええと、始点のことで、けっこう恥ずかしいことをわたしは書いていたようです・・・。まず、上流端の位置についてはリバーサイドさんがちゃあんと書かれていましたね。あの位置=早稲田通りにほぼ近いので、あそこを延長して通りにくっつけたようなところに、地図では始点がありました。それを見てなぜ吃驚したのかというと、わたしの追跡はもっと下流で途切れていたし、下水道等の情報でももっと手前までしか続いていないように思っていたからでした。。。きょう、現地に行って、始点ちかくのクランクと、最後の草むら暗渠まで見てきました。仰るとおり、早稲田通り近くまで追えました!嗚呼~、恥ずかしい。そしてリバーサイドさんごめんなさい(いや、記事はちゃんと読んでいるのですが。。)。
あ~、もう自分のバカバカ、と思いながら歩いていましたが、途中に居たノラ猫ちゃんが触らせてくれたので、ちょっとうれしくなりました。
さっそく再訪とは、行動がはやい!ノラ猫ちゃん、私も何匹か会いましたが、すり寄って来る子もいました。同じのに会ってるかもしれませんね。
とりあえず削除致しました。(あとから読んだ方には流れが判りにくくなってしまいましたが、どうかあしからずご了承くださいませ)
私は決してオカルト信者ではありませんで、むしろ否定論者なのですが、長いこと夜アルキをしていますと不思議なこと・怖いことにはよく出くわします。
そういうもののひとつをひょろりと書いたつもりでしたが‥‥。ともあれ namaさん、tokyoriverさんには深くお詫び申し上げます。
ありゃりゃ。全然場違いなんかじゃなかったですよ。
私もオカルトには否定的ですが、民俗学方面に興味を持っていることもあり、不思議な出来事をありのまま記したようなエピソードは、古今東西問わずとても面白いです。
庵魚堂さんの今回のエピソードも、うわああの場所で、さもありなん、といったニュアンスで怖わ〜と感じたのですが、当惑させてしまうような書き方をしてしまい申し訳ありません。
またぜひ、夜アルキの不思議なエピソード、聞かせていただきたく思います。
削除されてしまいましたか・・・なんだかわたしが騒ぎ立ててしまったことで、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
たしかに鳥肌もののお話しでしたが、この上高田支流夜アルキという記事にはぴったりのお話だったと思います(むしろ、盛りあがったと思います)。そして、わたしは自分が怖がりなのは自覚しているので、ひとりでいるときには読まなければよかった(実際普段は刺激に極力触れぬよう工夫しています)か、わざわざコメントに書かなければよかったのです。といっても、あのコメントは苦情ではなく、「こわい」ものを読んで「こわいね」と言っているだけで悪意はまったくありません。以降、表現に気をつけたいと思います。庵魚堂さんにお詫びいただくなんて、、むしろ逆で、反省しております。
というわけで、もしコメントを復活できるのなら、復活をのぞみます!それに、不思議なエピソード、わたしも今後も聞かせていただきたく思います。あまりに恐そうだったら、昼間に読みますから。。
>HONDAさん
お騒がせしてすみませんでした。汗、汗
そう、私もほぼ同じルートを歩んでます。夜はまた風情がありますね(というか、寺院や斎場の裏を通るので怖い感じもします)。橋のあとや源泉など派手さはないですが、空気感というか、湿度というか、魅力的な暗渠だと思います。
私の記事からこの記事にリンクさせていただきました。てへっ!
リンクありがとうございます。そうですね、確かにここの空気感は、何か特別なものがあるかもしれませんね。