落合川を辿る(3)緑溢れる中流域
2010年 10月 30日
前回の最後の写真に映っている神明橋下流側の地点で、右岸(南)側から合流する流れがみられる。綺麗な水が落合川へと注ぎ込んでいる。
流れ出して来る方向を見ると公園となっていて、その下を暗渠で流れてるようだ。公園を抜けると、ちょっとし窪地となったところに、ちいさな澄んだ池があった。ひょうたん池と呼ばれる池の端からは、それなりの量の水が流れ出していて、湧水地点は見えないが、どこかで湧き出しているようだ。
池から更に南側の崖下に行ってみると、もうひとつ更に小さな池があった。こちらも澄んだ水をたたえる湧水池で、水が排水口へと流れ込んでいる。弧の水がひょうたん池に注いでいるのだろう。
池からの水が合流する地点のすぐ下流では、再び左岸(北)側に水路が分かれている。こちらも改修前の旧水路だ。川の水は手前でほぼ同じくらいの量で旧水路と新水路の二手に別れている。
川は水の中も外も緑で溢れている。この環境を保全するために、新水路が完成したのちも、こちらの水路はそのまま残されている。
一応河川敷の外側に護岸がつくられているのだが、河川敷の中は緑に埋もれ、その中を流れる流路は自然なフォルムを見せている。
数百メートルほどで、旧水路は再び新水路に合流する。このあたりでも、かんたんに水面に近づけるようになっている。
水の中、河川敷、奥に見える氷川神社の森と、様々な緑がうねるように目に飛び込んで来る様はゴッホの絵のタッチのようだ。
水の中には水草が流れに身を任せている。河川敷には都心ではあまりみかけないようなトンボが飛び交っていて、オニヤンマが空を横切り、蝶のように羽根を羽ばたかせるトンボが、水面から突き出た水草に羽根を休めていた。調べたところでは「クロハトンボ」のようだ。この写真ではわかりにくいが、胴体は青っぽい色をしていた。
氷川神社の森の北側は、自然のままの河畔林が残っていて、水面にせり出している。全く手つかずの河岸が残っているのはここだけだという。
その少し下流側、毘沙門橋の手前では、「南沢湧水群」を水源とする流れが合流している。東京都の名水57選に選ばれ、落合川を含めて「環境省の平成の名水百選」にも入っているこの湧水群については次回紹介したい。
落合川は南沢湧水群からの水の合流で更に水量を増し、中流域といった雰囲気となる。毘沙門橋の下流側に設けられた堰のところには渕となっており、川岸から降りられるようになっていて、昨年初夏に訪れた時には、小学生たちが水着で川に入っていた。都心の川では絶対に見られない風景だ。
目に優しい緑のなかを緩やかにカーブしていく。こちらも昨年初夏の風景。
蛇行の跡を緑地にした「いこいの水辺」のあたりには、写真のような看板が出ていた。「川に入るな」ではなく、入る際に気をつけることが書いてあるのがよい。
落合川や黒目川にはあちこちにカモの姿が見られた。特に初夏はカルガモが多く、このようにヒナの姿も見られた。
西武池袋線の線路を越える手前では再び堰が。堰の右側からは蛇行跡の暗渠の土管から水が流れ出している。どこかで湧き出しているのだろうか。
堰の下の渕は魚がかなりいるようで、釣り人の姿や、魚を狙うシロサギの姿も見られる。
落合川は堰の先で、竹林公園の湧水(こちらも「東京の名湧水57選」に選ばれている)を水源とするこぶし沢の流れを合流し(こちらは次々回に紹介する)、西武池袋線の線路を潜って更に北東へと流れて行く。水流にゆらめく水草の緑が美しい。ここまでで源流地点から約2.5km、標高にして15mほど下って来た。次回は少し上流に戻って、南沢の湧水群を見てみよう。(つづく)