落合川を辿る(4)南沢の湧水群
2010年 11月 04日
南沢湧水群を集めた小川は「沢頭流(さがしらりゅう)」とも呼ばれ、400メートルほど流れた後、第3回目の記事の最終地点より少し遡った、毘沙門橋の上流側で落合川に合流している。合流直前の区間はコンクリート護岸の味気ない流路なので、それより上流を見てみよう。
氷川神社の南側に架かる「宮前橋」より上流の一帯が南沢緑地となっていて、流路は自然のままの姿を保っている。
橋の近くに立つ案内板の地図で、緑地内の流路の概要がつかめる。まずは地図最下方、「現在地」のところから右(南)に延びている短い水路を辿ってみよう。
雑木林の中から流れ出している水路が、道に沿ってしばらく流れ宮前橋のたもとで本流に合流している。
流れを遡って鬱蒼とした雑木林の中の小径を辿っていくと、竹林に囲まれた直径2、3mほどの湧水池があった。地面にぽっかりとあいた窪地に澄んだ水がたまっている。崖や斜面に囲まれているわけでもなく、なんだか不思議だ。
池のどこから水が湧き出しているのかはよくわからないが、窪地から土管で導かれ、小川へと流れ出す湧水はかなりの量があった。
宮前橋へ戻り、今度は橋から西に延びる本流の水路を辿る。鴨が隊列をなして泳いでいた。水の勢いは強く、速い。
100メートルほど進むと、南側から別の水路が合流し、川幅が広くなっている地点がある。写真右手から本流、正面奥から支流が流れてきてここで合流し、左手の宮前橋方面へと流れている。
緑地の中に入り、南側の水路を追ってみる。鬱蒼と茂る森の中を清流が下って来ている。
以前は源流の湧水まで近づけたようだが、現在は保全のためにそばまでは行けないようになっていた。そこで、後背地の丘の上に登り、そこを通る道路から斜面を見下ろすと、斜面の裾に源流が見えた。湧水口自体は見えないが、写真中央下方、水面が波打っている辺りで湧き出しているようだ。ここが4つある湧水点の2つ目だ。
さきほどの合流地点まで戻り、再び西から流れてくる本流へ。こちらはすぐに柵に囲われた立ち入り禁止エリアへと入ってしまう。
立ち入り禁止エリアの中は、東京都水道局の南沢浄水所だ。この中に残り2つの湧水地点があって、川は細長い池のようになっているらしい。その池の水門から流れ出した水が堰をごうごうと音をたてて流れ落ちているのが見える。
浄水所の敷地は「沢頭流」の谷頭を占めている。谷頭を囲む丘をぐるっと廻ってみることにする。北側の丘に登ると、ビニールハウス越しに、立ち入り禁止エリアの緑地と、その奥の配水塔が見える。南沢浄水所は1962年に完成し、現在東久留米市の東半分に給水しているという。南沢湧水群の湧水池の水を直接採っているという訳ではなく、そばに四本の井戸を掘ってそこから1日およそ3500立方メートルの水をくみ上げ、東村山浄水場から送水された水とブレンドしているそうだ。ブレンド比率はおよそ地下水1対送水3となっているという。
谷頭を囲む丘をぐるっと南側まで廻ってみたが、谷頭へと落ち込む雑木林の斜面は何カ所かで見られたものの、敷地内の湧水池がはっきりと確認できる地点はなかった。配水塔は南側の丘の上に建っていた。高さ23m、直径25mという配水塔の容量は1万立方メートルとのこと。ということは、南沢湧水群の湧水量と同じだ。この配水塔1本分の湧水が毎日湧き出している、と考えるとその水量の凄さがよくわかる。
次回は南沢湧水群から700メートルほど東にある、竹林公園の湧水と、そこから流れ出す「こぶし沢」の流れを辿り、そのまま落合川を黒目川の合流点まで辿り紹介する。
特に竹林の中のぽっかり湧水がすごくいいです。
ここで、掌で水を掬ってみたい・・・。
まわりはものすごい地下茎の絡みようでしょうに、こんなに純真無垢に水が・・・。
全く知らなかった場所でしたが、とても興味が湧いてきました。