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東京都内の中小河川や用水路、それらの暗渠、ひっそりと残る湧水や池をつれづれと辿り、東京の原風景の痕跡に想いをよせる。1997年開設の「東京の水」、2005年開設の「東京の水2005Revisited」に続く3度目の正直?新刊「東京「暗渠」散歩改訂版」重版出来!


by tokyoriver

石神井川の源流を探して(2)16年後の上流端。

(前回からのつづき)
次に訪れたのは16年後の2009年。前回と同じく花小金井駅から、上流端の標識へと向かう。途中横切る鈴木用水(玉川上水鈴木新田分水)も様子をうかがってみる。小平市では用水路の大部分は保全していく方針となっているので、一見今にもなくなってしまいそうな、こんな轍のような水路が残されている。
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久しく水の流れた形跡はないが、芥止めの柵もそのまま残されている。これらの水路の末端はかつて石神井川に流れ込んでいた。ここにもかつて動脈と静脈の関係があったのだ。
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16年ぶりの、小金井公園北側の、上流端。
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白濁した水はなくなっていて、三面コンクリート張りの水路の底に刻まれた溝にわずかに水が流れている。普及の遅れていた石神井川上流域の下水道は、この間に分流式で整備されて、川に下水が流れ込まなくなった。その分、水量はほとんどない。
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上流端の少し先では、右岸側の護岸に穴が開き、水が流れ込んでいた。
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すぐわきの小金井公園の敷地には、鬱蒼とした木々に囲まれた池がある。ここからの水が流れ込んでいるのだろうか(実はこの近隣には他にも現在の石神井川の「主水源」がある。それについては次回記事で)。
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池の傍らの区間は、三面コンクリート張りではなく、川底に土が露出していた。ただ、こんな上流だというのに水路はかなりの深さに掘り下げられており、背伸びをしないと川底が見えない。写真は背伸びの上にカメラを持った手を伸ばして撮影したもの。
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コンクリート蓋の区間はそのままだった。
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嘉悦大学の敷地に突き当たる。
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嘉悦大学の脇の開渠は残っていたが、水は枯れ果て、すっかり空堀となっていた。嘉悦大学自体も警備が厳しくなって、門は閉ざされており流路の先が現在どうなっているのかを確認することはできない。
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さて、前回たどったのはここまでだったのだが、この間に、インターネットの普及により、流路を検証する手立ては大きく変った。最大のツールは詳細まで判読できる地図や空中写真だろう。google mapを見ると小金井カントリー倶楽部内、ちょうどかつて石神井川の源流部があったと思われる谷に沿って、水路が描かれている(下図ピンク枠内。埋め込みができないのでキャプチャ。直接googlemapで見る場合はこちらを
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ピンク枠内を拡大して航空写真で見てみると、地図に描かれているよりも更に上流まで、水路がしっかり写っている。今でも水が流れているように見える。
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国土地理院の国土変遷アーカイブで戦前から1970年代にかけての空中写真を見ても、同じ場所に石神井川の流路が写っている。ネットの資料ではないが、1970年代前半の地図にも水路が記されていた。
鈴木町の源流が枯れた後長い間、小金井カントリー倶楽部内の湧水が源流であった時期があったというから、この小川はもともとは石神井川源流の流れであったのだろう。小金井カントリー倶楽部は会員制のゴルフ場の中でも格式が高いそうで、中に入ることはできず直接確認することができないのだが、様々な情報から推測すると、現在はカントリー倶楽部内の湧水は枯れていてまた現在流れている水は人工的なもので、また水路は今では直接石神井川にはつながっていないようだ。

そして、更に上流にも痕跡があった。カントリー倶楽部の敷地の中央を小金井街道が南北に横切っているのだが、ちょうど石神井川の流れる谷を横切るかたちとなっている。道が一番低くなる地点の道端。道路は盛土をして高くなっていて、敷地を見下ろすようになっている。
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道路の東側から見下ろすと、そこにはコンクリートに囲まれ、開渠があった。底には水が溜まっている。
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道路の西側にも、敷地を覗いてみると谷底にコンクリートで舛状に囲われた怪しい窪地が見えた。
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これらの窪地は石神井川の暗渠なのだろうか。その正体については、とある施設との関連が推測されるのだが、これについては次回記事の最後に記すこととしよう。

さて、石神井川のかつての水源は、この地点の更に西、小金井カントリー倶楽部の西側の窪地なのだが、かなりの遠回りをしないと辿り着くことができない。そのため、このときは小金井街道で力尽きてしまった。そちらを訪れたのはさらにその1年後、2010年となった。

(つづく)
by tokyoriver | 2011-07-27 00:08 | 石神井川とその支流 | Comments(0)