人気ブログランキング | 話題のタグを見る

東京都内の中小河川や用水路、それらの暗渠、ひっそりと残る湧水や池をつれづれと辿り、東京の原風景の痕跡に想いをよせる。1997年開設の「東京の水」、2005年開設の「東京の水2005Revisited」に続く3度目の正直?新刊「東京「暗渠」散歩改訂版」重版出来!


by tokyoriver

谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流

谷沢川上流部の最後は、砧公園の南側に発し、瀬田5丁目から玉川台2丁目を経て谷沢川に合流する支流を取り上げる。こちらも下流から遡って辿っていこう。

首都高速3号渋谷線の下、谷沢川の暗渠に残る南橋の欄干の近くから暗渠が始まる。谷沢川右岸側から、住宅地の間に、南西に向かって細いコンクリート蓋暗渠がまっすぐ伸びている。途中の区間は、駅への近道なのか意外と人が通っている。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22572422.jpg

200メートルほどいくと、暗渠は西南西に向きを変え、道路沿いに沿って流れる。橋の欄干風の構造物が残っている。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22573584.jpg

蓋の上はかなりデコボコしているが、近所の人が立ち話をしていたり、上を子供が走ったりしていて、風景に溶け込んでいた。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22574515.jpg

道端のU字の側溝が暗渠に接続され、雨水が流れ込むようになっている。暗渠は雨水の排水路として現役のようだ。ただ、蓋はかなりくたびれており、ところどころ車止めが壊れて骨組みの鉄骨が露出したりもしている。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22575864.jpg

蓋を横から見てみる。3枚に1枚、車止めが一体となった蓋が置かれている。また、側面には隙間があって、道路上の雨水が水路に流れ込めるようになっているようだ。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22581021.jpg


200メートルほど進むと、蓋暗渠はいったん姿を消す。次に姿を現すのは、環8通りの反対側(西側)だ。欄干の遺構の向こう側に、今までの区間よりもやや荒れた感じで蓋暗渠が続いている。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22582165.jpg

暗渠は住宅展示場の西側、住宅地との境目に沿って緩やかに蛇行しながら流れている。川端には土が露出して木が生えているところもある。かつては木陰を流れるせせらぎだったのだろうか。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22583177.jpg

展示場を抜けると、蓋暗渠はアスファルトの下へと消えていく。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22584368.jpg

暗渠は車道の歩道となって、蛇行しながら続く。特に点検孔などがあるわけでもなく、歩道の下がどうなっているのかわからない。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_22585532.jpg

砧公園の南側、暗渠の出発地点も通っていた首都高速に突き当たる形で、川跡はその痕跡を消す。下流からここまで、その流路は半円を描いてきたことになる。かつてはこの先、砧公園の敷地内にでも水源があったのだろうか。ただ、この支流の谷はかなり浅く、特に環8通りより上流はほぼ平坦だ。この近辺に、特に谷頭地形もみられない。主に雨水などが流れる、排水路的な川だったのかもしれない。
谷沢川上流部(6)瀬田〜玉川台の支流_c0163001_2259559.jpg

以上で、長々と続いてきた谷沢川上流シリーズを終わりとする。それぞれの流れを辿って思ったのは、谷沢川の暗渠はある意味、川として現役であること。下水道幹線に転用されることもなく、また流域の下水が分流式で整備されたこともあってか、川を流れる水は基本的に雨水や湧水(残っているのかどうかは不明だが)だけのようだし、本流については、源流地帯から、開渠となるところまで蓋の下で途切れることなく流路がつながっているようだ。
この状態であれば、蓋を開けて再度整備し、流れを復活させることも可能なのではないだろうかと夢のようなことを妄想しつつ、このシリーズを終わりとする。

==========================
用賀駅以北の谷沢川とその支流の流路地図はこちら(goglemap)
==========================


Commented by nama at 2010-02-24 11:28 x
うわー、車止めが一体!特注ですよねぇ。
側面も特徴的だし、、。
矢沢川、かなり面白そうだなと、たしかlotus62さんのところでも思った覚えがあるのですが、個人的に嫌な思い出があって行きづらいんですよね~w 暗渠欲とどっちが勝るか・・・

”流れの復活”。とても素敵ですね。
Commented by 庵魚堂 at 2010-02-24 14:05 x
この蓋は、ほんと限られた場所でしか見かけませんねえ。
世田谷区のこのあたりの他は、川崎市の北部・稲城市内です。
狭い道ではこの車止めは邪魔だと思われるらしく、人為的に突起部だけ壊して平らにしてあるのがありました。(川崎市)
軒並み全部、中の鉄筋まできれいに切られていましたからプロの仕事です。
そうそう、未使用新品(!)が路傍に山積みになっているのを見かけたことがあります。この形状なので積み方が独特でした。
Commented by tokyoriver at 2010-02-24 22:32
namaさん。
スペシャル仕様の蓋なんでしょうかねぇ。谷沢川の暗渠の蓋はバリエーション豊富で面白いですよ。思い切って行ってみて、いやな思い出を暗渠の思い出で塗り替えてしまうというのも手かもしれません・・・
Commented by tokyoriver at 2010-02-24 22:37
庵魚堂さん。
なにかある特定の業者さんの製品なのかもしれませんね。でも車止めの鉄筋がこれだけあちこち露出していたり、切り取られてまでされてしまうのは、ちょっと構造的に出来がよくなかったのかもしれませんね。
by tokyoriver | 2010-02-24 00:08 | 多摩川の支流 | Comments(4)