谷保天満宮周辺の湧水と小川
2010年 08月 29日
以前、文京区本郷菊坂の暗渠や、かつてあった汲み上げ式の井戸を紹介したが、谷保界隈もそれらと同じく21年前、高校3年生の夏に、8mm映画の撮影で訪れた場所。その時以来の訪問だった。
JR南武線の谷保駅から少し南に進むと、甲州街道沿いに谷保天満宮がある。10世紀初頭に創建されたという、東日本最古の天満宮だ。このあたりは立川崖線と、ひとつ南側の青柳崖線がひとつにまとまる地点で、本殿は崖線の下にある。ちなみに駅名は「やほ」だが、こちらは「やぼ」。尾久の「おく」(駅名)と「おぐ」(地名)と同様、駅名の方が間違いである。

崖線の下という立地なのでかつては境内のいたるところに湧水があったという。いまでもいくつか湧水は残り、そのひとつ「常磐の清水」は東京都の名湧水57選に選ばれている。境内に入る前に、甲州街道を少し西に進んでみよう。数分ほど、やや下り坂となっている甲州街道を歩くと、道の北側に窪地がある。

赤い縞々の坂道が印象的なこの窪地に降りてみると、民家の裏手、崖下の緑の下から水が流れ出していた。

離れていると草が生い茂りよく見えないが、近づいてみると御覧の通り、清冽な水が勢いよく流れている。

すぐそばに、国立市のたてた説明板があり、それによるとここは「清水の茶屋跡」。この辺りは谷保随一の湧水地で「清水の茶屋」という立場茶屋(街道筋の休憩施設にある茶屋。今で言えばパーキングエリアみたいなものか)が明治末期まであって、夏になると、湧水で冷やしたそばやそうめんを、甲州街道を旅する人々に供したそうだ。
湧水の流れは甲州街道の下を潜り、南に抜けている。同じ窪地の少し西側にも、一部が鉄板暗渠となってはいるが、湧水が水源と思われるかなりの水量の流れがあり、こちらも同じく甲州街道を潜っている。
南側に出た流れを追うと、水源から流れ出てすぐなのに、もうこんなに幅広の川となっていた。

この川から東にすぐ行った場所に、先の谷保天満宮があって、その一角には有名な「常磐の清水」がある。清水の湧水などを水源とした弁天池があり、中島には弁財天が祀られている。

池の水は澄み切っていて、池に泳ぐ鯉は空中に浮かんでいるかのようだ。

「常磐の清水」はこの池の裏手にある。そばにある説明板によれば、「17世紀後半に天満宮を詣でた僧侶の読んだ句「とことはに湧ける泉のいやさやに 神の宮居の瑞垣となせり」からその名がついたそうだ。「東京の名湧水57選」にも選ばれているが、正確には自然に出来た湧水ではなく、自噴の浅井戸らしい。確かに、沖縄にみられる「降り井戸(ウリカー)」のような造りをしている。枯渇したことがないというが、21年前に訪れたときには、確か枯渇寸前までいっていたような記憶がある(80年代後半、都内各地の湧水が枯渇の危機に瀕していた)。今回は浅いものの澄んだ水をたたえていた。

池から流れ出た湧水は、天満宮境内の他の湧水からの水もあわせて、天満宮の南側の道沿いに流れて行く。道沿いの赤いポストが鮮やかだ。ポストの脇は21年前は飲み物や菓子などを扱う商店だったような気がするが、今では営業していないようだ。

ここの流れは、水面と道路の高さにほとんど差がないうえ、縁石も何もないのが特徴的だ。水がとても身近に感じられる。21年前の夏は子供たちが水遊びをしていたが、今でもそのような光景は見られるのだろうか。

しばらく下って行くと、水路はやや深くなってくる。民家の前に洗い場があった。

近くにあった別の洗い場は、花に囲まれていた。ここで水路は道路沿いから離れて行く。

そして、清水の茶屋からの川に合流する。

更にその川は、天神橋の脇で、矢川の記事の最後にとりあげた府中用水の谷保支流に合流している。水門付きの合流点のほか、なぜか導水管で橋の下流側(写真右側)にも分かれて合流しているようだ。

府中用水の左岸にその導水管が見える。用水路に加わった水は、この先、東へと流れて行く。

ここから東へすすむと、立川崖線沿いに、谷保天満宮の別の湧水から流れる「下の川」を経て「西府の湧水」へ、逆に西へと辿って行くと、今でもわずかに残る「谷保田圃」とそれらを潤し縦横に分岐する府中用水、そして城山下の湧水からママ下湧水へと、水を巡る散歩を楽しめる。いずれそれらについてもとりあげてみたい。
なお、この春にくにたち郷土文化館から発行された「《ハケと湧水がつくる》里山だいすきガイドマップ 立川〜国立〜府中」がとてもよく出来ており、この地域の水巡りにはオススメだ。
こんな水環境で暮らす地元の方々がちょっと羨ましいですね・・・。
おかげさまで、少し涼しくなりましたーw
それと、最初に紹介されている水路。あれ、yahoo等の地図にも載っていたんで、最初はそれを見ようと探していたんです。ところが2~4枚目の写真のあたりを見ていたのに、あるはずなのにぜんぜん見つけられなくって。もっと接近しなければいけなかったんですねぇ。いやいや、遠くから眺めるだけという省エネをしてしまいました。
そうですね、あの川、地図にもしっかり出てますけど、水源はほんとに突然にある感じで、見つけにくいと思います。
暗渠で検索してやってきました。
いやー、写真とコメントを追いかけていると、
専門雑誌のページをめくっているみたいで、
とても楽しいです。
写真も素敵ですね。自分もきれいな写真を撮りたくなります。
これからも更新を期待しています!
谷保天満宮にある弁財池の水は、本当に透き通っていて綺麗ですよね。
近くに常磐の清水がありますが、常盤の清水の湧水はすべて弁財池の方へ流れているのですか?
それとも、一部は道路沿いの水路へ流れるのでしょうか。
ご丁寧にご返事をいただき、ありがとうございます。
谷保界隈は、清水の茶屋跡の湧水、常盤の清水の湧水、
透明度がすごい弁天池のほか、
ママ下湧水や清流矢川など、水に恵まれた良い地域ですね。


