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東京都内の中小河川や用水路、それらの暗渠、ひっそりと残る湧水や池をつれづれと辿り、東京の原風景の痕跡に想いをよせる。1997年開設の「東京の水」、2005年開設の「東京の水2005Revisited」に続く3度目の正直?新刊「東京「暗渠」散歩改訂版」重版出来!


by tokyoriver

2021年をふりかえる

2021年も今日で最後。今年も執筆や講座など様々なアウトプットができましたので振り返ってみました。

【執筆活動】
 まずなんといっても1月に編著「東京「暗渠」散歩」の改訂版 が刊行されたのが今年最大のトピックでしょうか。2012年に洋泉社から刊行されたこの本は日本初の暗渠本でしたが、2020年に版元の解散により絶版に。これに対して幸いなことに実業之日本社さんから再刊のオファーを受け、改訂版として刊行することができました。オリジナル版の7名の執筆者の皆様いずれも記事の修正や写真の大部分の撮り直しをされており、全面的なアップデートができました。
 また今回は60cm×90cmの大判暗渠地図を付録に。暗渠マップは2020年に自費出版で構想していたのですが、かたちを変えてここで送り出すことができました。前月の20年12月に昭文社から刊行された「東京23区凸凹地図」 にも暗渠マップを提供していましたが、こちらは全体は俯瞰できない一方で町歩きに使いやすい1万分の1地図となっており、2冊あわせていただくと使い勝手が良いかなと思います。おかげさまで発売早々4月に重版がかかりました。お買い求めいただいた皆様には感謝申し上げます。

アマゾンへリンク→東京暗渠散歩改訂版
アマゾンへリンク→東京23区凸凹地図
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 次に雑誌。「東京人」では4月号の「シティ・ポップ」特集11月号の「谷口ジロー」特集で記事を書かせていただきました。「シティ・ポップ」特集は企画スタート段階で少々関わらせていただいたご縁で、「都市の水脈/心の底流」と題し、暗渠散歩にあうシティ・ポップというテーマで選曲リストとエッセイを執筆しました。編集部とプロデューサーの牧村憲一さんの繋ぎ役をさせていただいたり、プレイリストをSpotifyで公開しQRコードを掲載するアイデアも提案させていただくなど、記事以外の関わりも多く、楽しませていただきました。
 「谷口ジロー」特集では「コマのシークエンスを形成する柳瀬川の地形」と題し、散歩物の傑作「歩くひと」のカット割 /コマ運びと清瀬市を流れる柳瀬川との関係について現地を歩いて検証した記事を寄稿させていただきました。大学で手塚治虫作品のコマ運びについて卒論を書いてはいるものの、暗渠とは直接関係ないなかで錚々たる執筆陣に紛れて起用していただき感謝です。

アマゾンへリンク→東京人21年4月号

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 また、たましん地域文化財団刊行の「多摩のあゆみ」183号では玉川上水分水研究の第一人者小坂克信先生と、赤色立体地図の千葉達朗先生とコラボし、小坂先生の記事「「砂川用水路の変遷」にあわせて玉川上水の砂川用水系分水の水路網の赤色立体地図を公開しました。こちらはWebにて縮尺を変化してみられる地図が公開されています。
〈記事リンク〉

 Web記事では「文春オンライン」からお声がけいただき、6月の渋谷川、9月の神田川支流、11月の水窪川と3本の記事を執筆させていただきました。特に9月の神田川支流は一般的には知られていないにもかかわらず、80万pvと大きな反響をいただき、雑誌起点のWebメディアの凄さを実感しました。
〈記事リンク〉

【暗渠講座(野外)】

 NHK文化センターの暗渠散歩講座は2019年4月から開始、今年で3年目を迎えています。おかげさまでずっと満員キャンセル待ち状態が続いております。今年は暗渠に限定せず、現役の用水路や湧水なども織り交ぜて回りました。

season7
1月 善福寺川の支流(田端・成宗・和田・堀之内)
2月 渋谷川上流部・玉川上水余水吐
3月 新川(上保谷のシマッポ)
season8
4月 烏山川源流
5月 百々向川・白子の湧水群・白子川於玉が池支流
6月 四谷用水
season9
7月 大沼田用水と小平駅周辺の用水路
9月 前谷津川上流部
season10
10月 柴崎分水(中下流部)
11月 蛇崩川支流・谷戸前川と中目黒の湧水
12月 練馬の石神井川支流群


 一方2021年は毎日文化センター、小田急まなたびからも、同様の野外講座開催のお声がけをいただきました。ありがたいことですが、準備などを考慮すると月2回が限界、そしてほぼ同タイミングでオファーをいただいたため、3ヶ月おきに交互で講座を開催することとなりました。こちらもおかげさまで毎回満員となっています。
NHKの方は最近は中級向けコースとなっていますが、両講座では初心者向けに過去にNHKなどで開催したコースの中からわかりやすいコースを選定しました。毎日の3月講座では春雷の土砂降りで中断し5月に仕切り直しというハプニングも。また小田急まなたびはコロナ状況の判断が他よりも厳しく、5月は中止となりました。

2月、3月 神田川支流(2回)[毎日]
4月 水窪川 [毎日]
6月 桃園川 [小田急]
7月 羅漢寺川 [毎日]
9月 森厳寺川・北沢川下流 [毎日]
10月 白金台と麻布の川跡[小田急]
11月 狛江暗渠ラビリンス 岩戸川・清水川 [小田急]
12月 石神井中用水(根村用水・稲付川) [小田急]

これらの野外講座で毎回用意している10数ページの資料もだいぶ溜まってきました。いずれ何らかのかたちでまとめようと思っています。なお、建設機械レンタル大手である株式会社アクティオのPRサイト「Aktio Note」での三上美絵さん連載「ドボたんが行く!」で、NHK文化センターでの暗渠講座の同行取材記事を、3回にわたって掲載いただきました。
〈記事リンク〉

【講演・イベント】

 2013年以来、アップデートを重ねながら各所で講演させていただいている暗渠概論講座、2021年はオンライン講座と大学の授業で開催させていただきました。
 ​3月には藤岡みなみさん主催の「タイムトラベル専門書店utouto」によるオンライン講座「タイムトラベラー養成講座」の第5回にて「タイムトラベル散歩〜暗渠学〜」と題し登壇させていただきました。聞き手の藤岡さんとutouto文具担当の比留川香さんが適度に質問や相槌を入れてくださったおかげで、初心者にもわかりやすい解説になったのではないかと思います。
 12月には東京理科大学葛飾キャンパスにて、舟引彩子先生の講座「江戸・東京の地形と歴史」でゲスト講師として登壇。「景観・空間・時間からひもとく東京の失われた川(暗渠)」と題し講義しました。90分フルで同じ内容を連続2回、という初めての体験でしたが、幸い学生さんたちが熱心に耳を傾けてくれ、特に2回目は終了後も質問が絶えず、講師冥利に尽きました。

 また、20年12月に刊行された「東京23区凸凹地図」関連のイベントとして1月に渋谷カルチャーカルチャーでの「スリバチナイト11~東京23区凸凹地図スペシャル」と紀伊国屋書店主催の『東京スリバチの達人』刊行記念オンラインイベントで、共著者である皆川典久さん(東京スリバチ学会会長)、松本泰生さん(東京階段研究会代表)、荻窪圭さん(古道・古地図愛好家)や、プロデューサーである宮本亨さんとともに登壇しました。

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 執筆や講座にお声がけいただいた皆様、参加していただいた皆様、書籍をお買い求めいただいた皆様、記事を読んでいただいた皆様、本年はほんとうにありがとうございました。来年も同様の活動が続くかと思います。引き続きよろしくお願いします。

by tokyoriver | 2021-12-31 20:43 | お知らせ | Comments(0)